201504.15
マンションなどの床面積を表示する際に、「壁芯面積」と、内法計算による「登記簿面積」の2種類があることをご存知ですか? この2種類の面積はどのように違い、それぞれどのような場合に用いられるのかを知っておきましょう。場合によっては固定資産税の軽減措置にも影響を与えることがあります。
ひとつの建物の床面積を計算する方法には「壁芯面積」と「内法面積」の2種類があります。分譲マンションのチラシやパンフレットに記載されている床面積には一般的に壁芯面積が用いられ、登記簿上の区分所有建物の床面積には内法面積が用いられます。
壁芯面積とは、建物の設計図を見た時、壁の中心線で囲まれた部分の面積のことです。これに対し内法面積とは壁の内側、つまり実際に利用できる部屋の広さを示す面積のことです。
例えば、壁の厚みが40センチある正方形の部屋の場合、壁の中心線は壁の表面から20センチ奥にあることになります。仮に部屋の壁から壁までの距離が縦横それぞれ10メートルずつだった場合、内法面積は10×10=100平方メートルになるのに対し、壁芯面積では10.4×10.4=108.16平方メートルになります。ただし、実際にはもう少し複雑な計算が必要です。
マンションなど、オーナーが区分所有をする集合住宅の所有関係や共同管理について定めた「区分所有法」という法律があります。この区分所有法によれば、マンションの専有面積の算定方法は「壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投射面積による」とされています。部屋の内側に柱の出っ張りがあってもその部分は無視されます。これはそもそも不動産登記法の床面積の算定方法に基づいたもので、当然、登記簿上の床面積も内法計算によります。
これに対し、「建物のどこまでが専有部分か」ということになると、
・壁芯を隣家または共有部分との境界と考える
・コンクリート躯体部分の表面まではすべて共有部分と考え、それから内側が専有部分と考える(上塗り説)
など、いくつかの考え方があります。ちなみにマンション業界では上塗り説を通説として採用しており、損害保険の保証範囲も上塗り説を前提として契約を結んでいるようです。
一般に、分譲マンションにおける「専有面積」とは、オーナーが個人的に使用できる部分の床面積の合計を指します。ちなみにトイレやクローゼット、バスルームなどは専有部分に含まれますが、バルコニーは共用部分とみなされます。これは、バルコニーは災害時の避難経路とされるためです。またロフトは建築基準法上「居室」と認められないため、専有部分ではありますが、床面積には含まれません。
不動産取得税や固定資産税、都市計画税、相続税、贈与税の課税基準として、固定資産課税台帳に登録された不動産評価額が用いられます。マンションを購入すると「評価証明書」の写しが渡されますが、これに記載されている現況床面積は登記簿上の床面積(登記床面積)とかなりの差があります。
上述の通り、登記床面積には区分所有分の内法面積が記載されます。これに対して評価証明書に記載されている現況床面積には、「建物1棟の総面積を、各区分所有者の占有部分の面積比率に応じて按分した共用部分の面積」も含まれています。このため、マンションの共用部分が広ければ広いほど現況床面積も広くなり、登記床面積との差が大きくなります。
なお、「新築住宅における固定資産税の軽減措置」の適用を受けるには、50平米以上280平米以下という基準を満たす必要があります。この面積は現況床面積で判断されますから、「うちは登記床面積が50平米に満たないので固定資産税の軽減措置が受けられない」と思っていても現況床面積によっては適用されるかもしれません。一方で、280平米にギリギリ達していないと思っていても、現況床面積を調べたら超えていたという可能性もあります。
これらのことを踏まえ、マンションを購入する際は、壁芯面積、内法面積(登記床面積)、現況床面積の違いと意味を知ったうえでそれぞれの面積を確認しておく必要があるでしょう。
管轄裁判所と
事件番号を入力して下さい。
与えません。
なお、裁判例として、時効消滅した管理費等を売却基準価額に含めなかった原決定に対して執行抗告を...