201512.08
「住宅ローンを利用してマイホームを持ちたい」とお考えの方なら、住宅ローン控除についても関心がおありではないでしょうか。一般的には「住宅ローン特別控除」「住宅ローン減税」などとも呼ばれますが、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。
この制度は、ローン返済開始から10年間にわたり、その年のローン残高に応じて所得税や住民税が一定額控除されるというメリットがあります。ただし、この恩恵を受けられるのは特定の条件を満たす場合のみです。住宅ローン控除について学び、この優遇制度を活用しましょう。
住宅借入金特別控除は「住宅購入の際に優遇制度を設けることによって多くの人が住宅を購入しやすくし、住宅投資を活性化して景気浮揚に貢献してもらおう」という意図を持つ制度です。具体的には、住宅ローンの残高に応じて一定の比率で所得税が控除(減額)されることになります。
例えば、住宅ローン残高がその年の年末に3,000万円あったとすると、平成21年以降の制度では住宅ローンの年末残高の1.0%、つまり30万円が控除されます。また住民税からも前年分の所得税の課税総所得金額から数%が控除されます(平成21年から平成26年3月までは前年分所得税の課税総所得金額5%、最高9.75万円が控除されました。それ以降、平成29年12月までは7%、最高13.65万円が控除されます)。
なお、控除が適用されるローン残高には限度額があり、これは居住開始した年ごとに設定額が異なります。たとえば居住開始した年が平成25年~平成26年3月の場合は借入金等の年末残高の限度額が2,000万円で、平成26年4月~平成29年12月までは4,000万円になります。また平成17年から平成20年については控除期間が10年と15年の選択制になっているなど、居住開始した年によって控除額計算に適用される数値に差があります。
このように、住宅ローン控除は居住開始した年によって計算法や控除率・最大控除額などが細かく違ってくるため、自分の控除額を計算する際には居住開始した年の控除率・控除額表を参照する必要があります。
住宅ローン控除の適用を受けるためには、一定の要件を満たす必要があります。かなり細かい要件もありますが、概要は次の通りです。
○「居住者」が住宅を新築又は建築後使用されたことのない住宅を取得した場合
・新築又は取得の日から6か月以内に居住し、控除の適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること
・年間合計所得金額が3,000万円以下であること
・購入する住宅の床面積が50平方メートル以上で、床面積の半分以上を自分の住居として使っていること
○「居住者」が中古住宅を取得した場合
・マンションなどの耐火建築物の建物の場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
・耐火建築物以外の建物の場合には、その取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
・上記のいずれにも該当しない場合は、一定の耐震基準に適合するものであること(平成17年4月1日以後に取得をした場合に限る)。
・年間合計所得金額が3,000万円以下であること
・購入する住宅の床面積が50平方メートル以上で、床面積の半分以上を自分の住居として使っていること
上記の適用要件のうち特に注意が必要なのは「自分及び自分の家族が居住する住宅でなくてはならない」という要件です。不動産投資目的で建築・購入したマンションなどには住宅ローン控除は適用されません。また、転勤などで居住者がこの住宅に住んでいない期間の控除も受けられません(ただし家族が引き続き居住している場合は控除が受けられます)。
会社員の場合、「確定申告をしたことがない」という方も多いと思いますが、住宅ローン控除を受けるためには初年度に必ず確定申告を行う必要があります。
確定申告は、その年の1月1日から12月31日までの1年間を課税期間とし、その期間の収支や医療費などを計算した申告書を税務署に提出し、所得税納税額を確定します。なお、申告はその年の翌年の2月16日から3月15日までの1か月間(3月15日が週末にあたった場合は翌月曜日まで)となっています。
住宅ローン控除を受けるために必要な提出書類・添付書類は下記の通りです。
1、確定申告書
2、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
3、住民票の写し
4、建物・土地の登記事項証明書
5、建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
6、源泉徴収票
7、住宅ローンの残高証明書
8、(一定の耐震基準を満たす中古住宅の場合)耐震基準適合証明書又は住宅性能評価書の写し
9、(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合)認定通知書の写し
1、2は税務署、または国税庁のサイトから入手できます。
3は市区町村役場、行政サービスセンターなどで入手できます。
4は法務局で入手できます。
5、8、9は不動産会社との契約時にもらっているはずです。手元になければ不動産会社に確認しましょう。
6は勤務先から年末に渡されます。
7は住宅ローンを組んだ金融機関から送付されます。
なお会社員の場合、初年度に確定申告を行っておけば、2年目以降は職場の年末調整で控除を受けられます。
管轄裁判所と
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