201409.12
自宅用の住宅やマンションを購入する時、購入費用の全額を自己資金で賄える人は限られていると思われます。多くの人は金融機関で住宅ローンを組み、長い年月をかけて返済してゆくのではないでしょうか。
さて、自宅を購入するにあたり、市価より2~3割安い競売物件の購入を検討している方もいらっしゃるでしょう。しかし、いくら格安の競売住宅や競売マンションとはいえ、それほど安い買い物ではありません。競売物件を購入する際にも住宅ローンを組むことはできるのでしょうか。
不動産競売物件の取得資金は、以前は買受人の自己資金で調達しなくてはなりませんでした。しかし、そのために個人は買受け申出(競売物件の入札への参加)が困難なものとなっていました。そこで、より多くの取得希望者が競売に参加できるよう、民事執行法82条2項が制定されました。これにより、不動産競売物件に対しても金融機関で住宅ローンを組むことが可能になったのです。
民事執行法82条2項の一部を要約すると、「競売不動産物件の代金を納付すれば、所有権移転登記に必要な書類を遅滞なくその場で貰える」ということになります。
従来、代金を納付してから所有権移転登記がなされるまでには一定の時間が必要でした。このため当該不動産に担保設定ができず、事実上、金融機関で住宅ローンを組むことが不可能だったのです。しかし民事執行法82条2項により代金の納付と同時に担保設定が可能となり、これによって住宅ローンの融資も可能となりました。
金融機関が住宅ローンの融資を行う場合、事前に融資が可能かどうかの審査を行いますが、競売物件の場合、落札できるかどうか不確定であるので、以前は入札前の事前審査に消極的な金融機関も多くみられました。
けれども、昨今では個人が居住用途として競売物件に入札することへの認知度が高まり、地方銀行や信用金庫の中には柔軟に対応してくれるところも出てきました。ただしそのような金融機関が、競売に関して経験も実績もない個人からの申込みに応じるかどうかはケースバイケースなようです。このため、競売物件の取得に際しては、住宅ローンを申込みたい金融機関に対して、競売物件取得に協力してくれるかどうか、事前に入念な打ち合わせをしておく必要があります。
もっとも、不動産競売に関して実績のある専門家がサポート会社として介入する場合は話が別です。金融機関はサポート会社の実績を評価し、信頼性が高いと判断すれば融資に協力的になります。また、このような不動産競売サポート会社は独自に当該不動産に関する調査を行い、金融機関に報告することが一般的です。こうした資料によって、金融機関は安心して融資を実行することができます。
「競売物件を落札したら、確実に住宅ローンを組みたい」とお考えの方は、金融機関との強い信頼関係を持つ、実績ある不動産競売コンサルタントを利用することも考慮しておくべきでしょう。
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