201408.20
一般中古市場マンションよりもおよそ2~3割安く入手できるといわれる競売マンション。しかし「競売物件には素人が手を出すべきではない」という意見も世間には根強く残っているようです。これは古い知識に基づく偏見ですが、確かに競売マンションの取得方法は一般的なマンション購入とは少々異なる手続きが必要で、専門知識も求められます。
競売マンション取得は一般的なマンション購入とどのように違うのか、おおまかな流れを見ていきましょう。
競売物件は入札によって買受人を決定します。裁判所は入札に先立って、入札者が入札するか否かを判断する材料となる物件資料を公開します。この資料がいわゆる「3点セット」です。
3点セットの内容は、
1 物件明細書……買受人が引き受けることとなる権利関係など競売物件に関する一定の情報を裁判所書記官が
記載したもの
2 現況調査報告書……執行官の現地調査による、その物件に関する権利関係や占有面積、形状などの報告書
3 評価書……評価人が、物件の築年数や状態・権利関係など、物件の適正価格を評価したもので、売却基準価額
の根拠となる情報やその算出過程を記載したもの
となっています。
入札希望者はこれらの資料を読んで競売物件の詳細を把握し、入札を希望する場合は、一定期間内に保証金を納付した上で入札書を提出します。保証金の額は、当該物件の売却基準価額の2割と定められています。落札できなかった場合には、保証金は直ちに入札書類に記入された口座に返還されます。
※ 3点セットは裁判所のサイト(http://bit.sikkou.jp/)で入手することも可能ですが、当サイトで無料会員登録することでダウンロードすることもできます。
入札終了後、裁判所で開札が行われ、一番高い入札額を提示した人が最高値買受申出人と定められ、一定の手続きを経て、売却が許可されます。裁判所から送付される代金納付通知を受け取ったら、期限内に残代金を支払うことで正式に所有者となります。所有権移転登記は裁判所書記官の嘱託により自動的に実行されます。入札からここまでの期間は管轄裁判所によっても異なりますが、およそ2ヶ月です。
なお、入札者のいなかった競売物件は「特別売却」という方法で、先着順に売却されることが通常です。
代金納付手続が終わった競売物件に対しては、裁判所は買受人の申し立てを受けて引渡命令(いわゆる強制執行)を発令できます。買受人が引渡命令の申し立てをするに至るケースとしては、前の所有者等が買受人の明渡し要求に応じずマンションに住み続けた場合などが想定されます。占有者がこの命令を受けた場合、一定の期限内に退去しなくてはなりません。退去を拒み一定の期限が経過すると強制執行が行われ、マンションは強制的に買受人に引き渡されます。ただ、実際にはこのような強制執行に至るまで立ち退きで揉めるケースは極めて少ないようです。
なお、占有者がすでに退去していて建物内に残置物等がない場合は引渡命令、強制執行は省略されます。
競売物件は、物件の現状や占有者の状況など事情が千差万別です。「掘り出し物」といえる優良な物件が格安で手に入る場合もあれば、「落札したものの、それほど魅力的な物件ではなかった」という場合もあります。
こうした競売物件の調査、そして住宅ローンを申請する金融機関との調整、占有者との面談などは競売物件や競売マンションを扱い慣れた専門家の手を借りた方が安心でしょう。
競売物件や競売マンションに関心のある方は、競売に関する法律やルールを学ぶとともに、競売に関するどのような専門家がいるのか、どんなサポートをしてくれるのかについても調べておいた方がよいでしょう。そのうえで、自分でやる部分と専門家の手を借りる部分を上手に切り分けすればよいのではないでしょうか。
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